2025年10月30日(木);伊東市幼児教育の質の向上研修に参加しました。

午前中は、伊東市立宇佐美幼稚園の公開保育を参観させていただきました。午後は、伊東市役所8階大会議室で事後研修を行いました。
公開保育では、子どもや先生の姿(下記のエピソード)から幼児教育の基本を確認することができました。また、午後の事後研修では伊東市立幼稚園の文化を知ることができました。伊東市教育委員会さまをはじめ関係者の方々にあらためてお礼申し上げます。

【さわやかな秋空のもとで】
園庭の園舎付近に、ござが敷かれ、ローテーブルのほか、秋の自然物、身近にあるもの、工作道具が置かれたワゴンや作ったものを置く場所が準備されていました。ゆったりとした空間に先生とともに、3人くらいの子どもたちが、何やら作っています。

Aくんは、毛糸などを段ボールに貼り付け、ケーキを作ったようです。杉に、ワゴンのところに行き、ダンボール手にしました。今度は、どんぐりと組み合わせて立体的なケーキを作るようです。
必要なときに先生の手をかりながら作っているAくんをみながら、向かいに座っていたBちゃんは、四角いダンボールに何か書きはじめました。メッセージプレートのようです。
「Aくんがいい?Aがいい?」とBちゃんが聞くと、「Aでいい」と一言。Aくんはつくるのに夢中です。名前を書き終えると、Aくんに見せました。Aくんは「『お』じゃなくて、『う』だよ」と一言。Bちゃんは、新しいダンボールをとり、先生に聞きながら何度か書き直します。
【Aくん、おたんじょうび(改行)おめでとう】と書いたところで、Aちゃんに見せると、「大きすぎる」と言われてしまいます。ケーキから大幅にはみ出してしまったのです。

先生は、「Bちゃん、Aくんのためにこんなにたくさん書いたんだよ」と失敗したプレートを示しながら、Bちゃんの気持ちを伝えます。Bちゃんは、すでに新しいダンボールを選んでいます。
Bちゃんは、ケーキの幅に合わせた新しいプレートに「おたんじょうび」の途中で改行し、どうにかおさめました。プレートに枝をつけ、完成したケーキにつけます。さらに、Bちゃんは枝とモールで蝋燭もつくりました。Bちゃんは、翌日がAくんのお誕生会だということを知っていたのです。

ケーキを見た他の子もつくりたいとやってきました。Aくんのケーキはどこかに置かなければなりません。先生が園舎からビールケースと布を走って持ってきました。「どこに置こうか?」と先生が聞くと、うれしそうに多くの子どもが見える場所を指定しました。

AくんもBちゃんも先生もケーキを囲んで笑っています。
Aくんは担任保育者を呼んできて、ケーキを見せました。子どももついてきました。「さっきの(最初に作った)ケーキより、いいよ」と自慢げにAくんは言いました。
園長先生も穏やかな表情でAくんたちの気持ちに寄り添っていました。突然、走ってだしダブレットを取りに行く行きながら、「いいタイミングが撮れない〜」と嘆いていらっしゃいました。よい写真を撮っている保育者よりもその場の子どもたちと一緒に喜ぶことの方が大切だと思います。あたたかく素敵な時間が流れていました。

翌日の誕生会で、蝋燭の火を吹き消すAくんの姿が目に浮かびます。
幼児教育の基本をあらためて学ばせていただきました。保育を公開してくださった宇佐美幼稚園のみなさま、ありがとうございました。